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著作権法豆知識 最終回 フェアユース
 こんにちは。
 最終回となる第八回は、フェアユースについてです。
 著作権法というのは、著作物を作った人の権利を定めたものです。
 そこでは「作品を作った人にはこういう権利がある!」と定める一方で、使う側の権利については、ほとんど「仕方ないから認めてあげよう」といった程度でしかありません。
 確かに、本や映画など、一般人には利用が不可能なメディア形式のみが流通していた時代は、それでもよかったかもしれません。

 しかし、現代社会において、作品の制作者は、時に作品の利用者でもあります。ブログを書く時、既存の著作から引用をしたり、時にはパロディをやることもあります。MADで言えば、MADという新たな作品を作るには、素材となるアニメやゲームを利用しなくてはなりません。
 MADのような「ヤバイ」ものはダメかもしれませんが、中には「これぐらいは使わせてくれたっていいだろう!」と言いたくなるような場合でも、既存の著作権法を形式通り当てはめて、裁判所の現実離れした金銭感覚で、「はい、損害賠償500万円」などとやられたのではたまりません。

 そこでアメリカの著作権法では、「フェアユース」という抗弁権を利用者の側に与えています。
 これは文字通り、「公正な利用」であれば、著作者に無許諾で、あるいは著作者の意に反して、使ってもよいというものです。
 
 でも、「公正な利用」と言われても、何のことか分かりませんよね。しかしアメリカでは、「公正な利用」とは何のことか、法律では決めていないのです。
 「公正」とは何か、それはいくつかの基準を元に、裁判で、判例で、決めていこうというのです。裁判が好きなアメリカ人らしい考え方ですね。

 フェアユースの最大の長所は、時代に適応できるということです。
 日本の著作権法は、基本的に著作物をただ受け取って鑑賞する以外のあらゆる利用を禁じ、その例外として、「私的な複製は許す」「非営利無報酬の上演は許す」といった形をとっています。
 そのため、時代が変わって検索エンジンやサーバ上のキャッシュなど、既存の著作権法では複製権の侵害(=違法)になってしまうような技術が登場した際に、法律を改正するまでの数年間?十数年間、それらが違法なものとして扱われてしまうわけです。
 日本国内で、法的リスクを犯してまで最新のサービスをやろう、などという人は(リスクの嫌いなこの国では)現れるはずもなく、結局日本は、検索エンジンや音楽配信サービスで、諸外国に置いてけぼりを食らってしまいました。
 
 一方のフェアユースで争われるのは「公正な利用であるかどうか」の一点です。多くの裁判で積み重ねられてきた理論や判例はありますが、いずれも抽象的なもので、「?は許す」のような形はとっていません。
 ですから、たとえば法的に危ないかな、というビジネスでも、自分が過去の判例や理論に照らして「フェアである」と感じたら事業を立ち上げ、権利者に文句を言われるようなら裁判で争う、ということができるのです。
 
 このフェアユースを、日本でも導入しないかという話があります。
 たとえば日本では、「パロディ写真」事件や、『チーズはどこへ消えた?』事件などで、「パロディ」という芸術分野そのものが否定されるような判決が相次ぎました。それらの判決の要旨は、要するに「どれだけ作品に芸術的価値があろうと、芸術の一分野だと認められていようと、形式的に権利者の著作権を侵害していれば、容赦なく損害賠償を認める」というものです。
 これではあんまりだということで、日本にもフェアユース規定を導入して、それが「公正な利用」であるかどうか、争えるようにしたらどうだ、というわけです。

 ***

 フェアユース規定に対する私の意見はこのブログでおいおい書いていきますが、基本的には反対です。
 そんなことより、ただ一文、

著作物は、著作者の人格的利益、および経済的利益を損なわない限り、自由に利用することができる。


 と明記したらどうだろうと思ってしまいます。
 もちろん、この場合も「人格的利益を損なわない場合とはどんな場合か」「MADは経済的利益を損なっているのか」などの議論が生まれるでしょうが、「公正な利用」という漠然としたものを巡って争うよりは、日本人になじみやすいのではないでしょうか。


 さて、著作権法豆知識の第一次連載は、これでおしまいです。
 次もこのカテゴリで、あるいは新しいカテゴリで、著作権に関するコラム(という名の自分の脳内整理)をやっていくつもりですので、そちらのほうもよろしくお願いします。

 では。お疲れ様でした。  
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