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「ひこにゃん」と「ひこねのよいにゃんこ」
 二級知財の試験も終わり、行政書士の試験に集中していたところに・・・来ました。
 著作権関連事件。しかも超応用型です!

 誰得な記事ですが、ま、備忘録ということで勘弁してください。
 ***

 詳しい記事は、asahi.comの当該記事を読んでください。
 自分はアマチュアですが、頭の体操を兼ねて分析してみます。なお、当ブログの「著作権法豆知識」の記事を読んでくださった方のために、出来るだけ文中で用語を解説していきます。

 まず始めに「ひこねのよいにゃんこ」ですが・・・明らかに「ひこにゃん」に依拠している気がします。要するに、「ひこにゃん」を翻案(アレンジ)したものが、「ひこねのよいにゃんこ」なのではないかということですね。
 この場合、問題となるのは翻案権の帰属です。つまり「アレンジする権利」が、原作者と彦根市のどちらにあるかが問題なわけです。

 判例によると、「著作権を全て譲渡します」という契約を結んでいても、その作品を映画化するなどの二次使用の権利は、当然に譲渡されていないとされています。
 なので、原作者が市に売却した「ひこにゃんの3ポーズ」の著作権について、たとえ契約書中に「この3ポーズに関する全ての著作権を彦根市に譲渡します」と書かれていても、翻案権については原作者側に留保されている・・・と裁判所に解釈される可能性があるわけです。
 実際、この原作者は3ポーズ以外の図柄を市が使用することに異議を唱えて認められているわけですから、おそらく、著作権のうち翻案権については、原作者が保有していると見てよいでしょう。
 そうすると、彦根市は「ひこにゃんの3ポーズ」の複製権や公衆送信権は持っていても、翻案権は保有しておらず、原作者のこのようなアレンジに対しては、何も言えないことになってしまいます。
 ただし、裁判所が「ひこねのよいにゃんこ」を、「ひこにゃん」の翻案(アレンジ)ではなく、複製(コピー)であると判断した場合(それぐらい似ている商品があった場合)は、原作者側が、彦根市の権利を侵害していることになります。
 著作権に関しては、自分は原作者側が有利だと思います。

 が、問題はさらに複雑で、彦根市は「ひこにゃん」に関する商標権を保持しているようです。
 この商標権というのは、基本的にはトヨタのマークとか、クロネコヤマトのマークとかいった、商品やサービスに付随する標章に関する権利で、asahi.comの記事にあった「ひこにゃん」のぬいぐるみなど、商品そのものの形まで保護するのかはちょっと確証がないのですが、仮に保護範囲だとしましょう(たとえばケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース人形」は、立体商標として登録されています)。
 すると商標権というのは、同一の商標だけでなく、類似する商標も禁止することができるので、この場合、「ひこねのよいにゃんこ」は、彦根市の持つ商標権を侵害するといえそうです。
 商標権に関しては、自分には原作者側が不利な気がしますね。

 あと、もう一つ法律があります。不正競争防止法と言います。
 これは商標権などと保護範囲がかぶるのですが、要するに、「パクリで商売しちゃいかん」という法律だと思ってください。ちなみに、商標権と違って、この法律は国に登録しなくても保護してくれます
 さて、不正競争防止法の観点から見ると、「ひこねのよいにゃんこ」はほぼ違法です。商品周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、商品形態模倣行為、どれでもいけそうですw ここでも原作者側は大変不利ですね。

 こう見てくると、原作者の弁護士がいう、「原作者はひこにゃんの3ポーズ以外は自由に創作できる」という言葉は、ちょっと怪しいかもしれません。著作権法の観点だけから見ればその通りなのですが、商標権や不正競争防止法の観点からは、原作者側が不利に思えます。

 ***

 しかし、ここまで知的財産権の知識がフルに活用される案件もないでしょう。著作権、商標権、不正競争防止法・・・正直、無責任な知財ウォッチャーの立場から言うと、この事件で裁判をやって判決が出てくれると、学習者にはとても役に立つ判例が出来そうだなあという感じですねw
 でも、一人の国民としての立場から見ると、著作権というものの扱いにくさが浮き彫りになっているとも言えます。著作権は強力な独占権(禁止権)であるため、安易に売り渡すと原作者が「描いたのは自分なのに、自分に何の権利も残らない」ことになって泣くことになり、逆に今回のように部分的な許諾だけ与えると、原作者が好き勝手に模倣品を作っているのに権利を買った側は文句を言いにくかったりするわけです。
 結局、独占権ですからね。誰かが独占し、それ以外の全員が抑圧される。そういう権利なわけです。だからこそ、この「所有権のドグマ」を抜け出し、著作物の私有財としての側面だけでなく、公共財としての側面にも注目して、この法律を改正していかなければならないのではないかな、と思っています。
 しかし、現在の「まず規制ありき」「まず利権ありき」の文化庁や権利者の態度を見ている限り、それは絶望的なようにも思えます・・・。
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