iM@S架空戦記を中心としたニコマスの感想サイトです。

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正しさへの収束
 こういう愚痴みたいなのは自分でも嫌いなんですが、一応書きます。相変わらず長いです。
 あと、一部の人の心を不当に煩わせてしまうかもしれないので、心の平穏を保ちたい人は、見ないほうがいいかもしれません。
 ***

 今日も今日とていい架空戦記(出来れば再生数の少ないものw)を探してたんですが、とある動画の第一話が叩かれまくってて、自分のことのようにへこみました。やれキャラの呼び方がおかしい、文字が見にくい、ウィンドウがしょぼい、台詞を喋っているキャラの名前はウィンドウの左上に付けろ、こんな出来じゃ続きを見る気にならん、などなど・・・。
 私は自分自身がダメダメなので他人を批判するのは嫌なんですが、ニコマスデビューの新人さん相手に、さすがにもうちょっと見守る余裕はないのかと言いたくなってしまいました。NG使っても計7人くらいが書いてるようで、決して一人の粘着がいるだけではない様子。応援しようというコメもあるのですが、やはり批判のほうが目立ってしまう。やっぱりみんな、ハイレベルな架空戦記に慣れすぎたのかなあと思うと、悲しくなってしまいました。

 これは以前書いた「新規参入」とも関わりがある話ですが、最近能の謡ばっかりやってる自分には、まず頭に浮かんだのは「様式化」という言葉です。
 要するに、ウィンドウの左上に名前を付けるとかいうのは、始めは"Innovator(開拓者)"が、読者の読みやすさや画面の美しさを考慮して作るわけですが、いつの間にやらそれが"Immitator(模倣者)
"たちに真似されるうちに「当たり前」になり、当たり前になっただけならいいのですが、最後には「正しさ」を主張しだすわけです。それ以外はダメなんだと。
 そうなると、新しい発明は消えてしまう。キャラの呼び方なんかは公式が発表してるんだからそうしろという人もいるでしょうが、そこに「正しさ」が発生し、さらに「正しくないものは、面白いかそうでないかを判断する以前の問題」ということになってくると、正しくないものは作品としての価値を否定され、正しいもののみが評価される様式化が進んでいくわけです。

 もちろん、それには良い面もあります。能などは500年以上の長きに渡って先祖の発明を絶対化し、「正しさ」の塊として様式美の極致にあります。が、能なんかは意外とよく出来ていて、例えば舞なら、「このタイミングでこれをしろ」という決まりはある一方で、「ここからここの舞は、最初と最後だけ合えばいい」などのアバウトな部分もあって、その束縛の中のわずかな自由が、演者の個性を許し、いわゆる「無個性の中の個性」を生み出すわけです。
 が、それは様式化の末に生まれた結果でしかありません。室町時代の能は、現在の能とはかなり違うものでした。たとえば世阿弥は『風姿花伝』の中で、「仮面を付けずに演じる時に、ことさらに表情を作る人がいるが、あれはやめたほうがよい」と言っています。仮面を付けずに演じることを直面(ひためん)と言いますが、室町時代の能では、表情を作りながら演じる人がいたということです(!)。この一事を見ても、室町時代の能と現在の能の違いがうかがえるでしょう。当時は今で言う『料理の鉄人』や『どっちの料理ショー』のような「能楽師対決! どっちが面白い!?」みたいな催しも日常的に行われており、かなりフリーダムな世界だったと思われます。

 見やすいインターフェイス、正しい呼称、そういったものは「最低限の礼儀」だという人もいるでしょう。私も、それが自発的に作者が行ったものならいいと思います。それが出来ていれば、気配りの行き届いた作者だと私も思います。けれども、「正しい○○」を読者が求めるのには、どうしても抵抗を感じてしまいます。それが、呼称表のような「ちょっと見れば済む話」だったとしてもです。
 自分は、現在の「正しさ」と「型」でガチガチになった能も好きですが、一方で室町時代の自由な能に思いを馳せて、羨ましくなることもあります。結局、何かを得るということは、何かを失うことでもあるわけです。「正しさ」を追求する人は、別に「正しさ」に美を感じてもいいんですが、自分たちのやっていることは完全なる善ではなく、作品に「正しさ」を追求することで、失われるものもあるのだということを、最低限分かっていてほしいと思います。

 なんでこんなに大げさに言うのかというと、まだニコマスが始まって二年そこらでこれですから、ひょっとしたら自分がニコマスに飽きないうちに、能のように様式化した架空戦記を見ることになってしまうのではないかと心配なわけです。完璧な呼称、美しいインターフェイス、ニコ動のユーザー層を分かった世界設定、コメが荒れないシナリオ展開、千早は胸ぺったんで、あずささんは常に迷子であり、更新速度は速く、読者の文句にはすぐ対応・・・まさに理想の架空戦記なんでしょうが、それが読者からの暗黙の圧迫で実現されるのであれば、私がニコ動の生み出した最高の文化的所産と信じて疑わないiM@S架空戦記も、その進化の終わりを迎えてしまうかもしれないのです。そうなったら、次はこういうコメが生まれるでしょう。「最近の架空戦記には個性がない。昔は良かった」・・・作品が「正しい姿」に収束することで、自由な表現の個性もまた奪われ、鑑賞者は現在の能のように「わずかな違い」を楽しむ心を強制されてしまうのです。作者に対する「正しさ」の要求は、作者だけでなく、視聴者をも束縛する諸刃の剣であるということは、忘れるべきでないことだと思います。

 ***

 また、こんな文章を書いてしまいました。じゃあ公開すんなよという声もあるのは承知の上ですが、広大なネット上で、一人でいいから、分かってくれる人がいればいいと思うので、公開します。
 最後に、たとえ以上の文章を読んで「それは違う!」と思う人がいたとしても、この長文を最後まで読んでくださったのであれば、心から感謝します。ありがとうございます。

 以上です。
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自分の「好み」を「正しさ」という虎の皮を着て振り回すのってこえーですよね
その一線だけは越えたくないなあと思う次第です
にしても「ニコ動の生み出した最高の文化的所産と信じて疑わないiM@S架空戦記」ってのかっけー!w
いやもう本当に何かうれしいのは何故w
カズマ | URL | 2009/08/07/Fri 06:32 [編集]
大共感でした。
ちょっと思いついた人が、ほんの出来心でUPできるような、
そんな空気になるといいんですが……。
ニコマス、これからも元気に伸びるといいなぁ。
ガル | URL | 2009/08/07/Fri 13:46 [編集]
■カズマ様へ
>ニコ動の生み出した~
 これは一年ほど前からずっと思ってることで、嘘偽りのない本心です。まあ、文章にするとちょっと恥ずかしいですけどねw
 もちろん、こういうのを嘲笑する手合いがいるのも知ってます。「二次創作なんてオリジナル作品の素材にただ乗りして云々」というやつですね。
 ただ、浮世絵だって、明治時代には輸出品の焼き物を包む「ちり紙」として使われていました。今でいう新聞紙扱いだったわけです。しかし、そのくしゃくしゃになった紙に描かれた絵を見て、外国人は思ったわけです。「これ、焼き物より美しくね?」と。

 ニコマスという文化は、いつか必ず「再評価」されるでしょう。しかし、学者や権威主義者たちが文化を「再評価」するのは、いつもその文化が見捨てられ、滅び去った後なのです。世間が認めてくれるのを待っていたら、遅いのです。
 なので、世間がどういおうと、自分は目の前にある面白いものを、愛し、そして「面白い」と言い続けようと思ってます。

 コメントありがとうございました!
gase2 | URL | 2009/08/07/Fri 14:39 [編集]
■ガル様へ
>ちょっと思いついた人が、ほんの出来心でUPできるような
>そんな空気になるといいんですが……。
 予備知識や「最低限の礼儀」、原作のやりこみ度など、動画を上げるために要求されるハードルが上がりすぎると、確かに質の高い作品は増えるかもしれませんが、一方でほとんどの人は「作る側」に回ることができなくなり、現在の「インディーズっぽい良さ」は失われると思います。そして、新鮮なアイディアが提示される機会は減って、ニコマスの進化もやがて止まるでしょう。
 それでも「正しさ」を要求するのならそれでもいいんですが、そこまでの覚悟や思想のある人はほとんどいなくて、要するにちょっと知識を披露したいだけとか、ちょっと上から目線でものを言ってみたいとか、その程度のことなんだとは思います。それは誰の心にもある虚栄心ですから、他愛のないものではあるんですが、おそらく彼らが思っている以上に、作り手の心や文化というものは、もろいものなんだと思います。
 自分がここまで熱くなってしまうのは、能という「死んだ芸術」を知っているからです。これはこれでいいものなんですが(本当ですよw)、でも、ニコマスはまだその段階じゃないだろうと。まだまだ伸びてほしいと思う気持ちが強いんですね。
 
 では、共にニコマスのさらなる発展を願いながら!
gase2 | URL | 2009/08/07/Fri 14:59 [編集]
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